ペンハリマブログ

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大切なのは何か・・・?

2009.02.14日

 つい最近の話である。私の知り合いのご家庭の大輔(仮名)くんは小学校6年生の男の子。この大輔くんの家庭は会社員の父と、主婦の母。大輔くんは一人っ子だ。

 
 私が見ている限り、大輔くんはいつもお母さんと一緒に連れ立って出かけ、行動をいつも共にする仲の良い親子だ。ただ大輔くんは一人っ子という環境からか、何かお母さんのペットのように大事に、大事に可愛がられていたようだ。それは当然だろう。

  
 この大輔くんは先月に「私立中学を受験するのだ」ということを伺った。そして、その結果は残念にも不合格だった。その私立中学は姫路地方では最高レベルと言われる私立中学だけに大変な「難関私立中学」と言われるらしい。

  
 大輔くんは、6年生になると子ども会も止め、近所の友だちとも遊ばず、ひたすら私立中学受験に向けての準備のための塾通いの毎日で、大変忙しい日々だったらしい。

  
 お母さんも毎日塾への送り迎えはもちろん欠かさず親子ともに緊張の一年間だった。それだけにご両親の落胆ぶりは傍目にも気の毒みたいだったという。

 
 その上、お母さんは大変負けず嫌いで、気の強い性格なので世間に対して恥ずかしいと外にも出ないくらい落ち込んだ様子だったらしい。

 結局、大輔くんは岡山の私立中学の後期の試験が実施される中学校を受験し合格した。

 
 しかし、気が治まらないお母さんは「どんな勉強をしてたんやろ・・」と、大輔くんが学校へ行っている間に勉強部屋に入り、机の中から一枚の紙片を見つけた。

 
 それを読んでみると友だちあての手紙の下書きらしく、次のようなことが書いてあったそうだ。その友だちは同じ小学校で同じ学習塾に通い、同じ私立中学を受験。その友だちは合格したという。

 
 「△△くん、目標にしていた中学校に合格おめでとう。ボクは○○中学を受験することになったが、今度こそ合格を目指しがんばる。。△△くんも中学生になったら、ボクと学校は違うことになったが、お互い今までと同じようにがんばろうね・・・」

 
 この下書きの手紙を見た母親は読んでいるうちに手が震えたという(知人の話)

 
 なぜ?大輔くんが小学校6年生にしては大変立派な考えを持っていて、友だち思いだったから?いや、理由はこれとはまったく反対で「大輔!。何を考えてるんや、△△ちゃんの合格を喜んでいる時やないやろ!負けたくせに。」お母さんは仕事中のお父さんに言いつけ、その夜両親が一緒に厳しく叱責したという。

 
 「今、友だちのことを喜んでいる時やないやろ!そんなことやからスベルんや!」

 
 この話の詳細は母親の友だちが私の知人で、その方から相談を受けたために判明した。みなさんはこの話、どう思いますか?私はこの相談を受けて大変驚いた。

 
 こんな大輔くんみたいないい子はいまどき珍しい存在だ。いまどきは友だちを蹴落としても自分は合格しようとする世の中。小学生でこんな考えのできる子はすばらしくいい子だ。このメールマガジンがみなさんのご家庭に届くのは私立高校の受験が大体終わったころだろう。私立高校を公立高校の「スベリ止め」と呼んだり、「行きたくないけど万一のときのことを考えて受けておく」「友だちがみんな受けるからカケておく・・」などと言っている人も多いが、とんでもないことだ。

 
 このような考えで公立高校をスベって私立高校に行っても、こんな考えでは親も子もおもしろくなく、投げやりになるもの。これではブチ壊しだ。子どもを。

 
 「高い月謝を払って塾に行かせたのに・・・こんな結果とは・・・」などと親が言えばオシマイだ。複数志願選抜制度になっても、多くの子どもが公立と私立の併願をする。

 
 こんなとき、不合格を想定するのはイヤな話だが、受験は合格したときより「不合格のとき親として子どもにどう対処するのがベストなのか」を受験前に十分考えておくべきだと思う。

 
 私立高校、公立高校の推薦入試、そして公立高校の学力検査による入試と続くが、それら高校に順番をつけていないか。いずれの高校に入学が決まっても、その高校が自分が行く一番いい高校だと思えますか?親として心からそう思える人の子どもさんは将来的にほんとうに幸せになると思う。

 
 要はどこの高校に合格するかではなく、行くことになる高校が一番好きになることだ。それも心から・・。

 
 今日の話に出てくる大輔くんのような美しい心と優しい心をもって友だち思いの子は社会に出ても人間関係も豊かに保てることだろう。しかし、そんないい子を親や、教師、それに社会の大人たちが身勝手な考えで壊していることはないだろうか。

 
 昔から「人事を尽くして、天命を待つ」と言われるが、人間としてできるだけのことをして、そのあとは天命に任せて焦らないことが一番大切ではないだろうか。

 
 高校野球をしている高校生は甲子園出場が人生の最終目標ではないはず、中学、高校、大学入学が人生の最終目標ではない。

     平成21年2月7日
                  岡村ゼミナール教育顧問 大 西 豊 司

出会いと才能の発見

2009.02.02日

世界には一人として同じ人間はいない。顔や体つきはもちろん、考え方や好み、能力においては思考力、理解力や技能など数え切れないほど違っている。

 
人間が誕生以来、家庭で、学校で、それらの環境の中で各人が生まれつき基本的に持っている能力、才能とでも言うか、それらの才能を親や教師に見つけてもらえない人も多く、それを見つけてくれる人、見つけてもらえる人とめぐり会えたらこれほど幸せなことはない。しかし、このかくれた才能を引き出す技は口で言うに易く、現実は大変難しいことである。

 
「あの先生に出会ったから今日の自分がある」という人も結構多いのではないだろうか。乳幼児期から幼児期へ、そして学齢期を迎え、就学の機会を迎えるころから、小、中、高校と12年間に自分の才能に気付いてくれる先生を持つことが大変大事なことである。

 
教師は学校や学習塾の別なく、必ず果さなければならない仕事の内容があるはずだ。それが「才能の発見」である。人間は自分を取り巻く環境の影響を大きく受ける。学校で直接担当してもらう先生もその環境のうちの大きなものである。

 
私たち教育関係者は「人が育つ」ことを助けることはできても「人を育てる」ことはできないと思う>。「人が育つ」のはやはり「本人の才能」そして「本人の努力」によるものであって、才能の発見は周囲の環境によるところが大きいと思っている。「人が育つ」ためには、自分(本人)の責任が半分、そして残りの半分は親(家庭)や学校(学習塾)の教師、地域社会の人たち、そして友人などの責任と考えている。

 
「人が育つ環境」の一つが先生など指導者との出会いであろう。しかし、一方昔から「親は百人の教師に勝る・・」ということばもある。

 
幼児期より一番身のまわりにいる両親、とりわけ密接な存在の母親、祖父母、兄弟姉妹の存在を抜きにして人間の成長は考えられないが、それ以前の持って生まれた「才能で決まる」と言われると返すことばもない。

 
しかし、「才能」のせいににして自分を磨こうとしない本人にも大きな責任がある。「才能」を発掘しないのも本人の責任かも知れない。

 
したがって、幼児期より早期教育と称して、算数や英語といった教科学習をさせている親もあるが、子どもにいろいろな分野を体験させてみて「飛びつくほど・・・」の才能を見つけるのも親や教師の大きな仕事であると思う。

 
1月14日東京体育館で行われた全日本卓球選手権ジュニア女子シングル(高校2年以下)の部で8歳で出場した平野美宇(みう)ちゃん(山梨・田富小2年)が高校2年生の矢走江理選手(宮城)に3:2で競り勝った。父親の光正さん、母親の真理子さんはともに筑波大時代の同級生で卓球部の主将をつとめた人。「将来はオリンピックで優勝したい」と抱負を。両親の才能を受け継いだとも言えるが、身長131p、体重25s。3歳でラケットを握ったというからここにも才能の早期発見が・・・。一日3時間の練習では泣いたことがないという。ここにも環境の大切さが伺えるか?

 
算数科(数学)、英語科、理科などの問題の解き方を教えることも大事だが、それだけが教師の仕事ではない。子ども自身が自ら調べて解決できる方法を教えてあげよう。

 
「関ヶ原の戦いは1600年・・とか」「オームの法則はこんな公式で計算する・・」と教えることなどは論外だ。その子の思考過程と理解度を見抜き、どこまで届いているのか、どこでつまずいているのか。どこまでその意識が到達しているのかを十分見極めて教えることだ。もちろん、「考えさせることと」と「教えること」をしっかり区別しなければならないのはいうまでもない。

 
子ども一人ひとり理解する(できる)スピードもちがい、じっくり時間をかけて考えればできる子だってたくさんいるのに、学校の授業では中の上くらいに照準をあてて授業を進める。従ってその辺の子どもには吸収されることがらで
 も、それ以下のスピードの子には到底ついていけないということになる。

 
最近、個別学習が大変注目されだしたのも当然なことだ。

 
その子の才能を見抜くことができる先生、その子の理解度に応じた指導ができる先生がそして親が今求められている。
1)その子に応じたレベルで、スピードで
(2)じっくり時間をかけて
(3)より具体的に
(4)口で言うより、視覚を通じて丁寧に
  指導したほうがよいと思う。

 
 今月13日に野球殿堂入りが決まったプロ野球ヤクルトスワローズの元監督の若松勉氏は1971年ドラフト3位で入団したが、身長166センチと180センチ位が普通のプロ野球界にあって超小柄であった。しかし、1年目よりレギュラーで起用したのは当時の三原脩監督であり、中西太コーチである。彼の才能を見抜き、そのバットコントロールの抜群さに気付いたのである。楽天球団の野村克也監督に「イチローと若松しかいない・・・」と言わせるくらいすばらしいバットコントロールの持ち主だとか。才能を見抜く人に出会えた若松監督は今でも三原脩監督を一番尊敬しているそうだ。ちなみに彼の生涯打率3割1分9厘はプロ野球界歴代最高(4000打数以上)、「小さな大打者」とも言われ、首位打者も2回取った。ベストテンには12回も入る「安打製造機」とも言われた。

 
 「子どもにとって才能を見抜く指導者(親・教師)に出会えるほど幸せなことはない」

 
 どうかその子、その子の特徴を見つけ、良い才能を見つける努力をしていただきたい。

 
 子どもは一人ひとりみんな違っているのだから・・・。
     平成21年1月23日
                 岡村ゼミナール教育顧問 大 西 豊 司