ペンハリマブログ

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高校入試における合否判定基準は?

2008.11.08日

 今日はもう「立冬」だという。温暖化のせいか、大変暖かい立冬である。先月末、新聞紙上に大きく報じられた問題。神奈川県立の高校における入試取り扱いについてのことを話題にしたい。

 
 神奈川県立神田高校の入試で、合格圏内に入っている生徒のうち、ピアスをしたり、スカートが短い生徒など22人を不合格にしたという問題である。 
 05年度、06年度、及び08年度の入試で、問題のありそうな生徒を合格からはずしたというのだ。

 
 もっと具体的に述べよう。合否判定に使われた主なチェック項目は、朝日新聞によると△茶髪に染めた跡がある。△つめが長い。△願書の受付や受験日の態度が悪い。△願書提出時に軍手をつけたまま。△胸のボタンを外している。△ズボンを引きずっている。△スカートが短い。△まゆをそった跡がある。△化粧をしている。等の項目ついて願書提出時や受験時に教諭らが用紙に受験番号や名前とともに問題点を記入し、試験結果が出た後、特に問題点が多い受験生について「入学後の指導が困難」と判断し、05年、06年度には6人ずつ、08年度には10人を不合格にしたというのだ。

 
 「不正な選考が行われていた」と内部からの指摘があり、この度問題化したというのだ。
 神奈川県では公立高校の入試は、調査書(内申書)、学力検査、面接を点数化した総合的な成績で合否を決めると定められていて、身なりや態度などについては合否判定の基準に含まれていない。

 
 ここまで読んでいただくと、神田高校が神奈川県の高校入試基準を守らず、合否判定の資料にしていない項目を勝手に付加したことは明らかに県の高校入試要項に反していると言える。合格圏内にいながら不合格にされた生徒にとっては、こんなことをされてはたまったものではない。しかも受験生の一割にも相当する数なのだから・・・。

 
 しかし、最後までこのことの裏側にある高校の事情も読んでもらいたい。なぜ、こんな事態になったのかを・・・。

 
 神奈川県平塚市にある県立神田高校。今年の4月5日現在、生徒数が1年生が116人、2年生97人、3年生134人、合計347人という小さな高校である。

 
 しかし、同校は中退者が年間100人以上も出る「課題校」「問題校」なのだ。近ごろの高校は中退者が激増していると聞く。この生徒を受け容れる通信制高校も多く、たくさんの高校生が新しい進路を求めて入学してくるらしい。退学する生徒にはそれぞれに理由があることと思われるが、ともあれ中途で高校を退学することは感心しない。


 「学習(授業)内容が高く付いていけない」というような理由は少なく、ほとんどが生徒指導上の問題が原因で退学するらしい。

 高校は義務教育ではないので、学校の方針に合わない生徒は排除することはよくある。

 この辺の高校でも「勉強は二の次でもいいから、まじめな生徒がほしい・・・。」という話はよく耳にした。

 
 つまり、高校教育とは名のみで、「授業」どころではなく、「生徒指導」「事件のあと始末」に忙殺されている現場(高校)のことをよく理解せず、県が定めた「選考基準」から外れた「合否判定だ」と反論してみても、それはあまりにも現場を知らない人の主張だと思う。

 
 では一体この問題をどう処理し、解決すればいいのか。高校進学率が99%にもなって、「せめて高校だけは行かせたい・・・。」(行きたいではなく、行かせたい)という保護者の声をよく聞く。

 
 みんなが行くから・・。世間体もあるし・・。こんな考えで行った高校は問題行動が発生する温床になってしまっている高校もある。神田高校も例外ではない。

 高校へ入ったら○○のことを学びたい・・。自分の夢を追いかけられる高校選び、ができていないまま、なんとなく高校に進んでいる生徒が多いのがその基にあるのでは・・・。

 高校にさえ入ればいい・・・。と言う考えが蔓延している。その証拠に、2月に「推薦入試」が終われば、中学校では授業にならないという先生さえある。

 教師の指示に従わない生徒、問題を起こす生徒は、まじめに勉強する子たちの邪魔をすることになる。

 より良い(まじめな)生徒を入学させ、より良い学校にしたいとの思いは理解できるが、選考基準と違うルールで合否判定をするのはマズイことだと思う。

服装や態度などそれを合否判定にないのにそれを取り入れたのはどう見ても賛成できない。いくらより良い生徒を取りたいといっても・・・。

 
 ではどうすればいいのか。同校は09年度から隣の高校と再編・統合され新しい高校になるのだという。これを機会に県教委と高校側が協議して新しい選考基準を設けて特色のある受験条件を示し、その中に、その高校として入学しては困る条件を示してもよいのではないか。そして受験生に公表してはどうだろう。義務教育ではない高校教育なのだから独特の基準に合わない受験生は除くことはあってもいいのではないか。高校は中学と異なり「特色」ある教育方針があるはずだ。その方針に沿った生徒を集めることも大切だろうと思う。

 
 同校の校長は「先生方の生徒指導負担軽減とまじめな生徒を取りたいとの思いだった」と述べているが、11月1日付で更迭されることとなった。


  校長の更迭でことは済まない問題だ。いまの社会では、なにか事があるとすぐに責任者が辞任して形をつけようとする傾向があるがよくないと思う。

 
 ちなみに、同件が発生して以来、学校に届いたメールやファックス、電話120件あまりの意見のうち半数以上は学校側に同情的な意見で「服装の乱れ態度の悪さで不合格にするのは当然だ」「校長が記者会見で謝る必要はない」という意見であったというが、そんなにやさしい問題ではないことだけは確かだ。

 「高校教育とは・・・」を問い直すよい機会かも知れない。

     平成20年11月7日
                  岡村ゼミナール教育顧問 大 西 豊 司